おかずクラブ・オカリナさんと介護職の賃金や経営問題を学んでいく「カイゴのおカネクラブ」。今回は特別企画としてオカリナさんに「介護とおカネ」について直撃インタビュー!
元看護師として介護施設への訪問勤務経験もあるオカリナさん。ここでしか聞けないぶっちゃけトークをお楽しみください!
おカネの使い方が豪快!?
早速なんですが、テレビで大活躍しているオカリナさんは、やっぱりたくさん貯金をしているんですか?
単刀直入!(笑)。それが全然貯めてないんですよね。2、3年前に先輩に「少しでも積み立てておいたほうがいいよ」って言われてから、少しずつ意識するようにしているんですが…。そもそも昔は給料が入ると全額下ろしてたんですよ。
どのように管理されていたんでしょうか?
給料の入る口座と使うためだけの口座を分けて、給料が入ったら口座を移すということをやってました。当時は「口座をいくつか持つのがいい」なんて聞いて、とりあえず形だけでもそうしていたんだと思います。「おカネを把握するんだ!」なんて意気込んでいましたが、結局そんなことをしても、あればあるだけ使ってしまうなんてことが多かったです。
豪快ですね(笑)。管理の仕方は変わりましたか?
それほど変わっていないんですが、最近は「使い過ぎない」ようにはしてますね。というのも、お笑い芸人って給料が月々で変動するので「ヤバいとき」があるんですよ。
「ヤバいとき」をどう乗り越えてきたのでしょうか?
もう空腹をやりすごすだけです(笑)。そういう経験も「貯金しなくちゃいけないんだな」という気持ちにさせてくれました。
耐え方も豪快ですね(笑)。おカネが「裏切る」ことってそうないですから、もしもの時のために貯金は重要ですね。
そうですね。おカネで買えないものもありますが、買えないものの方が圧倒的に少ないと思います。不安もおカネで解消できることだってあります。おカネはあるに越したことはないんですよ。漠然と先の人生を考えてもそう思いますし。
「老後2,000万円問題」が社会問題として大きく取り上げられましたよね。
私は自分がどうこうと言うよりも、「誰かに迷惑をかけたくない!」っていう気持ちが強いんです。だからこそ、最近は老後のためにも貯金しておこうって思っています。

老後2,000万円問題って?
2019年、老後に「2,000万円」が必要だとして社会問題になりました。実際に厚労省の試算によれば、高齢者の無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ)で、月々5.5万円ほど不足するとされています。
この試算には、さまざまな批判が集中しましたが、オカリナさんが言うように、お金はあるに越したことはありません。老後に向けてお金を貯めておいたり増やしたりすることは大切なのです。
看護師時代の経験
看護師として働かれていた当時の「おカネ」事情も教えていただけますか。
今とは違い、看護師時代はずっとおカネを貯めてたんです。高校3年生のときから芸人になると決めていたので、NSC(吉本興業の養成所)の費用や売れない間の生活費とかを想定して、ムダ遣いは一切せずに貯金をしていたんです。
当時、就職後に3年間働けば返還義務のない奨学金を利用していたので、その3年間は我慢して使わないようにしてました。毎年面談があるんですけど、毎回「3年経ったら某テーマパークで働くので辞めます」って言ってました。

看護師時代のプライベート写真(提供:吉本興業株式会社)
そもそもどうして看護師になろうと思ったんですか?
家族が倒れたことがきっかけで看護師になったんです。家族を助けられる自分になりたいなって。でも、いざ看護師になったら、もともと人見知りだし、初対面の対応も苦手で、「知らない人」の看護に全然前向きになれなかたんです。
看護師になって後悔したこともあったんですか?
後悔はあんまりないんですけど、先輩に迷惑をかけたのは申し訳なかったなって思います。看護師ってプリセプター制度っていうのがあって、マンツーマンで教えてくれる先輩がいるんですよ。すごく優しい先輩だったんですけど、辞めるときにその方が書いているノートを偶然見てしまい「どう教えたらいいかわからない」って書いてあって…。あー、かなり悩んでたんだなぁって思うと、本当申し訳なかったです。
そんなことがあったんですね。看護師としてもっとやっておきたかったことはありますか?
知識や技術をちゃんと身につけておけばよかったと思います。4年もやってたら、一般の人から見たら知識があると思われるじゃないですか。でも、私にはそういうのが全然ないので、周囲からアドバイスを求められても対応できないんです。医療関係の人にとっては当たり前のことでも、いったん外に出ると専門知識なんですよ。
いま、医療・介護業界で働きながら働いている方にアドバイスはありますか?
医療職も介護職も「専門職」であることに誇りを持っていいと思います。いま現場でがんばっている人にも、いずれ辞めるにしても知識と技術は大切にした方がいいとお伝えたいしたいですね。私みたいになったらダメですよ!

看護師として(提供:吉本興業株式会社)
オカリナさんが現場で知った「ムズすぎる」介護の実態!
看護師として介護現場に関わることはありましたか?
特養(特別養護老人ホーム)と有料老人ホームには仕事で訪問しました。
私が訪問した特養に限っていえば、要介護4・5の人がほとんどだったので、利用者の方は胃ろうをして動けない方が多かった印象です。介護職は人が足りてないから、オムツ介助とかも必要なときにやるんじゃなくて、時間で決まってたんです。
今はずいぶん改善されていると思いますが、当時はまだそういう施設が多かったのかもしれません。有料老人ホームのイメージはどうですか?。
有料老人ホームは、特養よりも元気に動ける利用者さんが多いので、レクリエーションをやったり、カラオケ大会をやったりとか、より活動的な印象でしたね。ただ、親が介護施設に入居するとなったら、私自身も介護について知らなければいけないなって感じています。
介護の現場には人手不足など、問題が山積みです。良い方向に向かうために必要なことはなんだと思いますか?
いろんな人に現場に足を運んでもらうことですかね。人手不足でどんなことが起こっているのかをその目で見ることで介護の問題を痛感できます。いわゆる「偉い人」には特に足を運んでもらいたいです。
そうですね。現場を知ることで変わることはたくさんあると思います。
この連載でもいろいろ勉強してきましたが、施設の格差や保険制度にも問題がありますよね。

介護職の4Kって?
介護職に対するイメージは、いまだに4K(きつい・汚い・危険・給料が安い)と揶揄されることがあります。岸田政権によって給与アップが図られていますが、それも実際には5,000円程度にすぎないとされています。
さらに、小規模事業者と大規模事業者によるサービス格差も進んでおり、問題は山積みです。超高齢社会の今、誰にとっても身近な問題にもかかわらず、オープンに語られることは多くありません。介護現場の実態を知るオカリナさんは、そのことを痛感しているようでした。
介護職の給与問題は本当に大変!
介護職の給与問題についてはどうお考えでしょうか?
私も介護現場に行ったことがあるので、大変な仕事のわりに給料が安いことには驚きました。この仕事で、この給料だと担い手があんまりいないのでは?と感じていました。
給与が高くないことは紛れもない事実ですね。
本当に皆さんの給与が上がってほしいです。看護師の場合、夜勤専従の方なんかはけっこうお金を持ってましたけど、介護職だとそうはいかないじゃないですか。そう考えると「ムズすぎません」?介護って。
根が深い問題です。
ただ連載がすすんでいくうちに徐々にヒントも見えてきました。やはり他の仕事と同じように、「ビジネス」の発想が重要なんだとわかりました。
家族の介護は経済的な支援も大切!
オカリナさんご自身は、介護の問題について家族でお話されたりしていますか?
妹とは話してますよ。弟が実家に住んでるので、たぶん弟にお願いすることになるんじゃなかろうかと。ただ、弟とはまだちゃんと話してないですけど…。
実家とか家族が大好きなんで、結構帰省もしてるんですけど、私が介護のために本格的に帰っちゃったら稼げなくなっちゃいますし。介護って経済的な支援も大切になるって言うじゃないですか。相続とかで揉めたくないですし…そう考えるとちょっと怖いですね!
そういうケースも少なからずありますからね。
備えのためにも貯金は大事だなあ。…わかってはいるんですけど、やっぱり目の前の楽しいことに目が行ってしまうんですよね。
その気持ち、痛いほどわかります。
いろいろ偉そうなことを言いましたけど、介護に対する実感が湧いていないというのも事実です。でも、この連載を機に少しずつ考えるようになりました。
介護について考えるタイミングに早すぎるということはないと思います。もちろんおカネのことも。
そうですね。看護師時代を思い出したことで、おカネのこと、働くということの初心に戻れた気がします。介護については、これからもこの連載でたくさん学んでいきたいと思います!

看護師時代のプライベート写真②(提供:吉本興業株式会社)