今回は、株式会社ポラリスが運営する「ポラリスデイサービスセンター佐井寺」(大阪府吹田市)で介護士を務める由佐恵子さんにお話をお聞きしました。これまではアパレルやブライダルで接客業に携わってきた由佐さん。秋からは新設する施設の所長になることも決まっているそうです。「介護のお仕事が大好きです」と笑顔で語る由佐さんに、日々感じているやりがいを聞いてみました。

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Profile 介護士 由佐 恵子さん

アパレルメーカーに就職後、店長として新規店舗の立ち上げに携わる。さらにブライダル業界やアミューズメントパークで接客のキャリアを積んだあと、出産を期に退職。パートとして同じ職場に戻るも、ご主人の転職を期に再び正社員で働く道を探す。接客や管理職の経験者であることから、介護未経験で主任として転職。初任者研修を取得した後も複数の資格に挑戦し、理想の支援を模索している。

経歴
1990年4月 アパレルメーカーに就職
1993年~1995年 店長として勤務
1995年~1996年 ブライダル業界に転職
2001年~2004年 アミューズメントパークのダンサーとして勤務
2009年~2013年 ブライダル業界に復職
2014年2月~ 株式会社ポラリスに入社
長所 明るい、ポジティブ
短所 考える前に行動してしまう
趣味 お花、筋トレ
特技 掃除(特にトイレ)

接客経験を買われ、介護職未経験で主任からスタート

前職では、どのようなお仕事をされていましたか?

ブライダル関係です。ウェディングドレスなど衣装のご案内やメンテナンス、プランナーさんのサポートなどを行っていました。婚礼は一生に一度というところで、幸せなお仕事である一方、失敗できないというプレッシャーはありましたね。でも、私はドレスを見ているだけでも幸せでした。

ブライダルのお仕事を退職された理由は何だったのですか?

主人がドクターストップで転職を余儀なくされたんです。仕事が忙しくて26時頃まで働いていたので、無理をしていたんだと思います。もともと肝臓も弱かった主人を支えたいと思い、パートを辞めて正社員で働くことにしました。そこで新しい仕事を探していたところ、今の職場でご縁をいただいたのです。

転職時期を教えてください。

2014年の2月です。介護の仕事は初めてでしたが、社会人デビューの頃からずっと接客業に携わってきました。以前のお仕事で店長も務めてきていたので、主任として勤務するように所長が声を掛けてくださいました。その後、所長が退職されたため、入社3ヵ月後に私がその役職を引き継ぐことになりました。

  Before After
雇用形態 パート 正社員
業種 ブライダル デイサービス
職種 衣装担当 介護士
勤務時間 9:00~19:00 8:30~17:30
休日 日曜を含む週休2日 週休2日のシフト制
仕事内容 衣装の案内・メンテナンス 身体介助・生活相談

未経験からの転職で大変だったことはありますか?

最初はありましたね。はじめは本当に右も左もわかりませんでした。役職者として入社したものの、介護の基本的なことを学ぶ「初任者研修」を取得できるのが2ヵ月後という状況だったためです。でも、ご利用者様の役に立ったり、ケアマネージャー様やご家族の信頼を得たりできるように資格を取ろうと思い、勉強に取り組んできました。

なるほど。最近取得された資格はありますか?

「メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種」です。高齢者の中には精神的な疾患で悩まれている方も多いので、身体的なことや認知症のことだけではなく、お心に寄り添うようなことを勉強できたらいいなと思って取りました。

資格を取ることで、できることが広がってきたと感じていますか?

知識は確実に自分の身についていると感じています。お声がけの仕方も変わりましたし、学んだことをスタッフに伝えてあげることもできます。一人ひとり違うので正解はないですが、認知症の方への接し方も、自分の中に指針ができて役に立っています。

目標を喪失しているご利用者様が夢を取り戻すことが喜びに

現在のお仕事内容について教えて下さい。

最近は自立支援介護に携わることが多いです。自立支援介護とは、加齢や病気などで要介護になった方が、ご自分の力で自立した生活ができるようにサポートするお仕事です。かなり奥が深いので、事業所に来られるご利用者様を元気にするために、日々学び、得た知識を実践しています。

仕事の楽しさややりがいを感じるのはどのようなときですか?

「身体はしんどいけど、こうなりたい」という夢を持っていただけたときですね。

身体に不調があって事業所に来られるご利用者様がほとんどなので、最初は皆さん緊張されていて、目標もなくなってしまっていることが多いんです。でも、心を込めて接することで、「これしたい、あれしたい」とおっしゃってくださるようになります。すると、笑顔が増えて目が生き生きしてこられるのです。

「心が元気になると、身体がついてくる」というのを、目に見えるように学ばせていただいています。目線を合わせることから始めて、リラックスしていただき、心を開いてもらってから、少しずつ次の目標達成を目指します。

これまで出会った「夢を持ったご利用者様」のエピソードはありますか?

介護のお仕事を始めた頃、精神疾患で20年間家から出ていないために、下肢筋力低下になり、歩けない70代前半の方がいました。最初はまったく話をされなかったのですが、その方の家に通って、飼っている鳥に一緒に餌をやるなどしてかかわりを持つようにしました。通い始めた頃は便まみれの状態だったのですが、「トイレにも行きたい」と少しずつ言ってくださるようになり、4ヵ月たったある日、「外に出て花が見たいから頑張ろうかな」と言われたのです。その方の足だと事業所までは、徒歩で10分ぐらいの距離です。送迎車は嫌がられる方なので、車椅子を疲れたときの椅子代わりに用意して、徒歩でポラリスに向かいました。そのときに笑顔で道端の花を摘むご利用者様のご様子が、今でも心に残っています。

その後、その方はどうされたのでしょうか?

マシーンを使って自立の運動もされ、水分をしっかり取り、トイレも自分で行けるようになりました。1年半ほど通われた頃、ご自宅で誤嚥性肺炎を起こして入院され、間もなく亡くなられましたが、入院するときもご家族の方が事業所に寄ってくださいました。最初はスタッフたちも「(お世話が)大変だ」と言っていましたが、ご利用者様のお気持ちの変化に励まされ、最終的には積極的な気持ちでかかわるようになっていましたね。

とても大切な思い出づくりをお手伝いされたのですね。スタッフが心を込めて接する中で、ご利用者様に変化があったと感じたことはありますか?

はい。最初は心を閉ざして、話すことさえされない方もいます。しかし、そのような場合もスタッフの長所を活かし合い、チームで試行錯誤しながら丁寧にご利用者様にかかわっていきます。すると、ご利用者様に変化が見えて、スタッフからも「楽しい」という声が出てきます。「この方は私が迎えに行きます」と、みんながどんどん積極的になっていくのです。

チームで連携することで、スタッフさんたちの仕事に対するモチベーションが上がるんですね。

はい、大きく変わりますね。最初は「そこまでしないとダメですか?」としぶっていたスタッフも、ご利用者様との関係性が深まる中で、「やっぱりここまでして良かったです」と言ってくれます。

喫茶店経営をしながら育ててくれた母の影響

お仕事の中では大変なこともあるかと思います。由佐さんのリフレッシュ方法などがあれば教えてください。

私はストレスを溜め込まない方ですが、万が一怒りたくなったときは、掃除をしています。そうすると、心が安らぎます。また、ポラリスではご利用者様の水分補給を重視していますが、汚いトイレでは排泄もしづらいと思います。そのため、頻繁にお手洗いに行かれても気持ち良く使っていただけるように、常にきれいにしています。お手洗いや水回りのことは、ご利用者様もすごく喜んでくださいますね。

すばらしいリフレッシュ方法ですね。プライベートのこともお聞きできればと思います。お休みの日にはどのように過ごしているのでしょうか。

1ヵ月に1回、お花教室に通っています。普段は仕事のことを考えていることが多いですが、お花をしているときは、心を無にして没頭できます。通い出したきっかけは、花が好きだった母の影響が大きいです。娘が生まれたときも、心豊かな子どもに育ってほしくて、自宅に花を一輪でも飾ろうと決めたのです。花の中ではラナンキュラスが大好きです。ラナンキュナスは、大輪で花びらが多いのに、とてもやさしい色をしています。主役のように目立つ花でありながら、みんなの脇役にもなれるところに魅力を感じます。

お花は職場でも活かせそうですね。仕事とプライベートの両立のために工夫していることはありますか?

管理者は責任ある仕事ですので、転職前は考えごととともに仕事も家に持ち帰ってしまい、気分転換がうまくできませんでした。しかし、今は職場の方に家庭を大事にするように言ってもらえるので、家に帰ったら仕事を忘れられるようになりました。今までの人生の中でもはじめてのことです。家庭と両立した働き方への配慮があるので、休みの日はたっぷり家族や犬との時間を過ごすことができて幸せです。

周りの力を信じて頼ることで自主性が発揮できる職場に

今後の目標と仕事に取り組む中で心がけていることを教えてください。

この秋から新しい事業所「ポラリス門真上島」の所長になりますので、そこで成果を出すことがこれからの目標です。

仕事で心掛けていることは、人とかかわるときは笑顔で接することですね。私は子どもの頃、母から「自分で決めたことは大変でも楽しんでやるように」「いつもニコニコして、気が利く女の子でいること」と教えられて育ちました。それを守り、困難なときでもにこやかな対応を心掛けています。

また、これまでに管理職を経験してきていますが、正直な話、私はしっかりしてはいないのです(笑)。ですので、周りに良い方が集まってくださっているというのが私の強みです。人より早く出勤したり、仕事に対して努力したりはしますが、特に人に長けたところはないですし、どのお仕事も純粋に好きということだけです。

役立っている前職でのスキルはありますか?

自分が完璧な人間ではないので、周りに頼ることも意識しています。すると、「これやってもいいですか?」とスタッフが自分から発信してくれるのです。間違ったことがあれば言いますが、よっぽど危険なことじゃない限り、まずはやってもらいます。

任せることが、結果的にスタッフさんたちのやる気を引き出すことにつながっているのですね。

「これやって、あれやって」というのはあまり言わないですね。むしろ得意分野かどうかを確認したうえでお願いすると、その後は「これやりましょうか」と声を掛けてくれます。

スタッフ一人ひとりを信じることを大切にしているのですね。介護のお仕事で長所を活かせていると感じるのはどんなところですか?

あまりくよくよしないところですね。このお仕事が本当に好きなので、その思いを持ってみなさんに笑顔で接すると「行きたくなかったけど、つい事業所に来てしまうね」と言ってくださるご利用者様もいます。

ご利用者様は人生の先輩ですので、抵抗のない笑顔を向けると、嘘の笑顔じゃないということを理解して心を開いてくださるように感じます。

「人生に寄り添う」というところにやりがいを見出されているのでしょうか?

介護の仕事で出会う方々は、お仕事や子育てが終わった後の人生の再スタートのような思いで事業所に来られます。身体を壊している方ばかりですので、ご本人の助けになることはもちろんですが、ご利用者様が笑顔になると、ご家族も笑顔になり喜んでくださるのです。こうしてご本人やご家族の笑顔を守り、元気に最後まで過ごせるお手伝いができればと思っています。介護は本当にやりがいがある良い仕事で、楽しいということを知るスタッフを増やしたいですね。

最後に、介護業界への転職を考えている方にメッセージをお願いします。

やさしい心を持っている方や人と触れ合うことが好きな方ならば、安心して飛び込んできてほしいですね。私は主任としてケアマネージャー様やご家族とお話する機会が多かったため、必要性を感じて資格を取りましたが、最初は資格などがなくても大丈夫。

また、「介護の職場はいじわるな人がいるのではないか」とか、「排泄のお世話をする嫌な仕事」と偏ったイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。苦労することがあっても、仲間と一緒なら乗り越えていけることでしょう。心を込めた分だけ相手に伝わる仕事だということをわかっていただきたいですね。

ご利用者様との出会いはかけがえのない財産になります。ぜひ、お仕事のやりがいや楽しさを知ってほしいと思います。私たちは、笑顔でお待ちしています。

撮影:STUDIO WAVE

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