今回は、長野県小諸市にある訪問介護事業所「エフビー訪問介護こもろ」へやって来ました。お話を伺うのは、所長を務める三浦祐美さん。専業主婦からホームヘルパーとして社会復帰して13年が経ちます。「臨機応変な応対力は、家庭生活を経験した人の強み」と語る三浦さんから、訪問介護の楽しさや自らが率いる職場への想いをお聞きしました。

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Profile 事業所長 三浦 祐美さん

高校卒業後、データ入力を中心としたデスクワークに従事。結婚・出産後は2人の子どもの育児に専念するも、下の子の幼稚園入園をきっかけに介護業界へ再就職した。短時間勤務の訪問介護員としてスタートし、サービス提供責任者も経験。現在は事業所長を務める。

経歴
1993〜2003年 高校卒業後、事務職に従事
2003〜2010年 主婦として家事・育児に専念
2010年 エフビー介護サービス株式会社へ入社
2013年 同社にて正社員登用
長所 おおらか
短所 おおざっぱ
趣味 ドライブ、犬と遊ぶ
特技 思いつきません!

いろんなことを学びたい!専業主婦から介護の世界へ

これまでのご経歴を教えてください。

高校卒業後は事務職として勤務していましたが、結婚を機に退職し、2人の子どもを出産しました。しばらくは主婦として過ごし、下の子が幼稚園に入園したタイミングでホームへルパー(訪問介護員)をはじめました。ヘルパーの仕事は今年で13年目を迎えます。

      
  Before After
雇用形態 正社員 正社員
業種 情報処理業 訪問介護
職種 事務 事業所長
勤務時間 8:30〜17:30 変形労働時間制
休日 土日祝 週休2日(シフト制)
仕事内容 データ入力 身体介助、生活援助
事業所運営

ご結婚前に就いていた事務職では、どんなお仕事をされていたのですか?

データ入力が中心です。当時はパソコンが普及してきた時期でしたから、働きながらWindowsのスキルを身につけられるのではと期待して、デスクワークを選びました。けれどいざ入社してみると、自社システムに伝票内容を正確に入力していく単調な仕事内容。

思惑が外れ、何度も辞めようとはしたんですが、その度に上司から引き留められてしまって。「ステップアップのための退職なら応援するけど、飽きた・つまらないという理由で辞めるのはダメだよ」なんて諭され、確かに他にやりたいことがあるわけじゃないしな…とグズグズしているうちに10年も経ってしまい…。寿退社という形でようやく卒業させてもらえました(苦笑)。

取材写真

どれくらいの期間、専業主婦として過ごしたのですか?

6〜7年くらいです。子どもが小さいうちも接客系の短期バイトをすることはありましたが、継続した仕事の再開は、ヘルパーをはじめた2010年頃のことです。

再就職先に介護の仕事を選んだのはなぜですか?

以前の職場では特にこれといったスキルが身に付かなかった苦い思い出から、今度こそ手に職をつけたいと考えていました。それに、運転免許くらいしか持っていなかった当時の私は「資格」に対して強い憧れがあって。独身時代は単調なルーティン業務に明け暮れ、結婚後は家事・育児に追われる毎日が続いていたため、学ぶことに対して飢えていたんだと思います。

学歴やキャリア面での条件をクリアできて、家庭と両立しながら取得可能な資格は何かと探した時、現実的にもっとも折り合いがついたのが「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」でした。

モチベーショングラフ

それまで介護のご経験などはあったのですか?

20代前半の頃、脳梗塞で寝たきりになった祖母と同居していた時期があります。主に介護を担っていたのは母でしたが、私も見よう見まねで簡単な排泄介助を手伝ったりしていました。

知識もないのにどうやって介助していたのか今考えると不思議ですが、当時を思い返してみても、決して嫌な記憶ではないんですよ。だからこそ、大きな抵抗も過度な理想もなく、すごくニュートラルな気持ちで介護の世界へ飛び込めたのかもしれません。

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柔軟であたたかい職場が私を後押ししてくれる

勤務先をエフビー介護サービスに決めた理由は?

待遇や雰囲気、将来性など、トータルで見ていちばん印象が良かったのがこちらの会社でした。加えて、弊社にはパートさんとも少し異なる「登録スタッフ」と呼ばれる雇用形態があります。私も、正社員になるまでの2〜3年間は、この登録スタッフとして勤務していました。

登録スタッフには「週◯日◯時間働かないといけない」といった縛りがなく、自分の予定次第で自由に勤務希望が出せます。幼稚園の送迎時間や子どもの長期休みが仕事復帰のネックだった私にとっては、非常にありがたいシステムでした。

多様な働き方が認められているんですね。

そうなんです。今も事業所にいる登録スタッフたちは、子育てママだけでなくお孫さんのお世話で忙しい方や趣味を存分に楽しんでいる方など、それぞれのライフスタイルに合わせた働き方を実現しています。

働く人個々のペースや背景を理解し、一人ひとりを大事にしてくれていると実感できたことが「ここで働き続けたい」という決断につながりました。

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三浦さんが働く事業所「エフビー訪問介護こもろ」について聞かせてください。

当事業所は訪問介護事業所として、利用者さまのご自宅へホームヘルパーを派遣しています。食事介助や排泄介助といった身体介助のほか、掃除・料理など生活援助を行い、要介護・要支援高齢者の在宅生活をサポートします。

「こもろ」のスタッフ数は正社員5名、パート1名、登録スタッフ11名。私は3年前から所長を務めています。

勤務スタイルはいかがですか?

週休2日制で、勤務時間は変形労働制となります。朝は利用者さま宅へ直行する場合が多いため、サービス開始時間によって始業時間が変わります。その日の訪問が終わったら事業所へ戻り、書類作業やミーティングなどを行っています。

スケジュール

事業所長の仕事内容にはどんなものがありますか?

ヘルパーのひとりとして介護サービスを提供しながら、諸々の書類作業やケアマネとの連絡調整、本社からの申し送り事項を職場内に周知するなど、業務は多岐にわたります。

所内の人材マネジメントについては、私ひとりが行うのではなく、みんなでフォローし合いながら進めています。シフト管理はサービス提供責任者が担ってくれていますし、新人さんが入った時も教育担当者を決めることはしておらず、全員でサポートしています。年齢や勤続年数にこだわることなく、上下関係のないフラットな関係性がうちの自慢なんですよ。

スタッフ同士、厚い信頼関係で結ばれているんですね。

はい。私じゃなくても、誰が所長をやってもまったく問題ないくらい皆さん頼もしくて。

もちろん、事業所として最終的な判断を下すのは所長である私なので、重責は日々感じます。けれど、自分ひとりで抱え込むのではなく、誰かがフォローしてくれるという安心感があるおかげで、なんとかやってこれています。

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主婦・主夫経験を存分に活かせる訪問介護

以前働いていた事務のお仕事と介護職を比べて、もっとも違いを感じるのはどのような点ですか?

仕事をするにあたって「考える」必要があるかどうか。介護の仕事は頭をフルに使います。

事務職時代は与えられたシステムに沿って動くだけでしたから、効率性を追求したり、より良い結果を見つけるといった作業は皆無。プログラム通りに早く正確に手を動かしてさえいればOK、といった漫然とした毎日でした。

一方、介護職は、仕事のやり方そのものをゼロから作り上げなければいけません。答えにたどり着くまでのセオリーもないし、算数みたいに絶対的な正解がない世界だから、ずっとずっと試行錯誤と創意工夫を繰り返すしかないんですよ。介護職ってものすごくクリエイティブな職業だなと感じます。

インタビューを重ねていても「介護の現場に1日として同じ日はない」と皆さんおっしゃいますね。

そうなんです!「介護なんてつまらなさそう」という世間のイメージとは正反対の、刺激にあふれた仕事だと思います。利用者さまとの接し方ひとつ取っても、とことん考え抜いて動くことが求められますからね。

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介護職の中でも、特にホームヘルパーへ求められる資質やスキルはありますか?

相手を見守る気持ちと、臨機応変な応対力でしょうか。

私は、ヘルパーって「黒子」だと思ってるんです。影のように利用者さまのそばに寄り添い、必要な時だけさっと手を伸ばして支えてあげられるのが理想のヘルパー像だなと。

なるほど「黒子」ですか。分かりやすいたとえです。

いなくちゃ困るけど、主張しすぎない存在でありたいですね。年をとって他者のサポートが必要になったって、利用者さまの人生は利用者さまご自身が主人公です。たとえ相手のためと思っても、ヘルパーがあれこれ押し付けてしまってはいけません。

それに、介護サービスの利用に慣れておらず、ヘルパーが生活へ介入することに拒否反応を示す方もいらっしゃいます。利用者さまへ余計なストレスを与えないよう、現場ではできるだけ相手のご希望に沿った手順と方法でサービスを行う姿勢が大切です。

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さまざまなタイプの利用者さまと、うまくお付き合いするコツなどはありますか?

何でも素直に教えてもらうこと。そのご家庭ならではの暮らしのルールをはじめ、些細なこともどんどん質問すると良いと思います。

これは、後々トラブルにならないための確認的な意味合いもありますが、人間って誰かに何かを尋ねられると、頼られてる気がして嬉しいじゃないですか?「自分は介護されるだけじゃない」と、利用者さまの生きる尊厳を守ることにもつながります。

特に、家庭を長年切り盛りしてきた高齢女性は、ご自身の生活スタイルに対してプライドやこだわりをお持ちの方が多いです。その気持ちをしっかり汲み取って、相手に合わせる柔軟性を持つことがマストですね。

ヘルパー自身の家事経験も大いに役立ちそうですね。

日常生活全体への気配りができる・先を見通して先手先手で動けるといった面で、主婦・主夫経験がある人は強いと思いますよ。

特に「こもろ」は、スタッフ全員が女性かつ主婦なので、サービスの質の高さは目を見張るものがあります。料理の作り置きや部屋の整頓術など、ありとあらゆる暮らしのアイデアを持ち寄って、訪問がない日も利用者さまが快適に過ごせるよう、ヘルパーそれぞれが工夫してくれています。

私がこの仕事を始めた頃は新米主婦でしたから、先輩たちの料理のレパートリーや生活の知恵の数々に驚いてばかりでしたね。仕事を通じてみんなの家事力を学べたおかげで、我が家の生活レベルは間違いなく向上しました(笑)。

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ほかの仕事は考えられない!ヘルパーは私にとって最高の職業

三浦さんの夢や目標を教えてください。

トラブルのない、穏やかな日常を紡いでいくこと。そして、新しい仲間を迎え入れ、この事業所を次世代につないでいきたいです。今の雰囲気の良さを継承しながら、スタッフみんながさらに楽しく働ける職場をつくっていきたいと思います。

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訪問介護歴も13年となりましたが、他の介護サービスへ挑戦したいという気持ちは?

ごめんなさい、まったくない(笑)。ヘルパーしか考えられないです。

三浦さんにとって、ヘルパーの魅力はどこにありますか?

利用者さまと1対1で向き合えるという充足感ですね。訪問している時間は相手に100%集中できます。入居施設だと、どうしても広い目で見てバランスを取らなければいけませんから。

それに、周りの目を気にしなくて良いのもメリットです。常に誰かがいる場所で働くと、心強いのは確かだけれど、その分他人からの評価とかも気になっちゃうでしょ?自分らしさを大切にしたい人や、マニュアルに縛られた働き方が合わない人でも、訪問介護ならストレスなく働けるのではないでしょうか。

最後に、介護職を目指す方へメッセージをお願いします。

未経験・初心者だからといって身構えず、自然体でいてください。技術は後からついてくるから心配しないで。私たちも全力でサポートします。ケアの仕事へ興味を持ったその最初の気持ちさえあれば、きっと大丈夫ですよ!

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撮影:[ style ]+ 田中正直

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