介護福祉士実務者研修とは
介護福祉士実務者研修は、高品質な介護サービスを安定して提供するための専門知識と技術を習得する研修・資格です。
介護の国家資格である「介護福祉士」を目指すために必須の研資・格修でもあります。
この研修を修了することで、以下が期待されます。
- 基本的な介護提供能力の修得
- 医療に関する知識・技術の修得
- 制度改正や新たな課題に対応できる能力の育成
つまり、介護福祉士を目指す人はもちろん、介護現場で質の高いサービスを提供したい方にとっても、介護福祉士実務者研修の取得は有用な選択肢となります。
介護福祉士実務者研修の資格概要
主な特徴は以下の通りです。
- 受講資格は問わず、誰でも受講可能
- 介護職員初任者研修の上位資格
- 旧ホームヘルパー1級や職員介護基礎研修に代わる資格
- 介護の専門知識と実践的な技術を学ぶ
- 医療的なケアの知識・技術も習得する
- たんの吸引、経管栄養などができるようになる
- 修了者は介護サービス提供責任者として従事可能
- 受講時間は450時間以上と長期にわたる
受験資格
介護福祉士実務者研修の受講には、特別な条件は設けられていません。
介護の経験や資格の有無に関わらず、誰でも受講することができます。
しかし、介護未経験者でも受講自体は可能ですが、効率的な学習が難しい可能性があります。
なぜならば、この研修は介護職員初任者研修よりもさらに高度な内容を扱うためです。
そのため、まずは介護職員初任者研修から学ぶことをおすすめします。
すでに介護の基礎知識があれば、実務者研修の内容もスムーズに習得できるからです。
取得までにかかる費用
介護福祉士実務者研修の受講費用は、10万円前後から20万円程度となっております。
具体的な受講料の目安は以下の通りです。
保有資格 | 受講料の相場 |
---|---|
無資格 | 15万円~20万円 |
介護職員初任者研修修了者 | 10万円~15万円 |
ホームヘルパー2級 | 10万円~15万円 |
ホームヘルパー1級 | 5万円~10万円 |
介護職員基礎研修 | 3万円~5万円 |
既に介護関連の資格を持っていれば、受講料が割安になる傾向にあります。
今後の就職先によっては、受講料の一部を支給されるケースもあります。
無資格からの取得を検討する場合は、約20万円を上限に考えるといいでしょう。
カリキュラム内容
介護福祉士実務者研修は、介護の基本から最新の医療的ケアまで、短期間で技術を身につけることが可能です。
総受講時間は450時間と長期にわたり、以下の科目が含まれています。
- 人間の覚悟と自立
- 社会の理解
- 介護の基本
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- 心身の構造と機能
- 介護過程
- 医療的ケア(講義・演習)
すでに介護の資格を持っている場合は、一部の科目が免除となります。
具体的には以下の通りです。
- 介護職員初任者研修修了者は130時間分が免除
- 旧ホームヘルパー1級資格保持者は355時間分が免除
- 介護職員基礎研修修了者は400時間分が免除
受講形式は、通学と通信を組み合わせて進むことができます。
通信講座で基礎知識を学び、実技は思考の施設で対面授業といった感じです。
ただし、医療的ケアや介護過程などの重要科目は、通学での受講が義務付けられています。
カリキュラムは450時間
介護福祉士実務者研修のカリキュラムは、総時間数が450時間で、介護現場で求められる高い知識と技術を幅広く習得することになります。
主な受講科目には以下のようなものがあります。
- 生活支援技術I (20時間): 介助の基本を学ぶ
- 生活支援技術Ⅱ(30時間): 利用者の状態に合わせた福祉用具の使い方を学ぶ
このように、基礎から応用までを体系的にカバーしているため、現場で実践的な実践力が身についています。
試験内容
介護福祉士実務者研修には、最終的な資格試験はありません。
ただし、施設によっては、以下のような試験や課題が設けられる場合があります。
- 定期的な筆記試験
- レポート課題の提出
- 実技試験(一部の施設のみ)
- 修了試験(一部の施設のみ)
これらの目的は、受講生の理解度を確認することにあります。
問題数は、1~2時間程度で解ける範囲となっている場合が多いようです。
出題範囲は研修のカリキュラム内からとなり、受講内容を確実に習得していれば一定の合格基準をクリアできるレベルとなっています。
不合格となった場合でも、再提出や追試験を受ければ合格できるケースがほとんどです。
合格難易度
前述した通り、介護福祉士実務者研修は資格試験がなく、受講するだけで取得できるため取得の難易度は低いです。
しかし、以下の点に注意が必要です。
- 450時間のカリキュラムを修了する必要がある
- 初心者は専門性の高い内容に戸惑うリスクがある
そのため、無理のない受講スケジュール管理が必要です。
保有資格で異なる研修内容
介護福祉士実務者研修の受講内容と時間数は、受講者が保有する資格によって異なります。
主な違いは以下の通りです。
資格 | 必要な受講時間 | 残りの受講時間 |
---|---|---|
無資格の場合 | 450時間 | 450時間 |
介護職員初任者研修修了者 | 130時間 | 320時間 |
旧ホームヘルパー1級修了者 | 355時間 | 95時間 |
旧ホームヘルパー2級修了者 | 130時間 | 320時間 |
介護職員基礎研修修了者 | 400時間 | 50時間 |
すでに介護の基礎的な資格を持っている人ほど、介護福祉士実務者研修の時間が短縮され、受講期間が短縮されます。
これは、介護に関する専門知識や実践力は、受講者の経験値に基づいて一定レベル以上の習得が求められるためです。
ただし、完全に免除される科目はありません。
受講時間の違いはありますが、カリキュラム内容自体に大きな変更はなく、同等の質が維持された教育が行われます。
介護職員初任者研修のケース
介護福祉士実務者研修の総受講時間450時間のうち、130時間分が免除されます。
つまり、320時間の受講で実務者研修の修了が可能になります。
介護職員初任者研修で習得済みの知識・技術については、重複して学ぶ必要がないと判断されているためです。
一方で、介護福祉士実務者研修では利用者の心身状態に合わせた対応力や、医療的ケアに関する高度な知識・技術などが新たに求められます。
つまり、介護職員初任者研修の修了者でも、介護福祉士実務者研修を通して介護の専門性を大きく高める必要があります。
訪問介護員研修(旧ホームヘルパー)1級のケース
介護福祉士実務者研修の総時間450時間のうち、355時間が免除となります。
この大幅な免除は、旧ホームヘルパー1級が相当の専門性を持つ資格と位置づけられていたことに由来します。
介護福祉士実務者研修は、この旧資格の後継としての側面を持っているためです。
訪問介護員研修(旧ホームヘルパー)2級のケース
旧ホームヘルパー2級の資格保持者が介護福祉士実務者研修を受講する場合、介護職員初任者研修修了者と同等の扱いとなります。
この措置は、旧ホームヘルパー2級が新制度における介護職員初任者研修の前の位置づけにあったためです。
介護職員基礎研修のケース
介護職員基礎研修の修了者が介護福祉士実務者研修を受講する場合、最も広範な科目免除が認められています。
具体的には、介護福祉士実務者研修の総時間450時間のうち、400時間が免除となります。
この大幅な免除措置の背景には、介護職員基礎研修が旧制度のホームヘルパー1級と同等の資格と位置づけられていたことがあります。
ただし、免除されない50時間の受講は必須です。
医療的ケアに関する最新の知識と技術を一通り身につける必要があるためです。
介護福祉士実務者研修と介護職員初任者研修の違い
介護の分野で重要な資格として、介護福祉士実務者研修と介護職員初任者研修があります。
介護福祉士実務者研修 | 介護職員初任者研修 | |
---|---|---|
カリキュラムの広さ | 20科目450時間 | 9科目130時間 |
介護福祉士国家試験受験資格 | 受験資格となる | 受験資格なし |
医療的ケアの実施 | 一定の医療的ケア(たんの吸引・経管栄養など)が実施可能 | 実施不可 |
このように、介護福祉士実務者研修は介護職員初任者研修よりも困難度が高く、より専門的な知識・技術を習得できるカリキュラムとなっています。
受講科目と時間数
介護福祉士実務者研修と介護職員初任者研修では、受講する科目数と総時間数が大きく異なります。
受講科目数 | 総受講時間数 | 受講期間(目安) | |
---|---|---|---|
初任者研修 | 9科目 | 約130時間 | 約2ヶ月 |
実務者研修 | 20科目 | 約450時間 | 約6ヶ月 |
具体的な受講科目には以下のようなものがあります。
- 社会の理解
- 介護の基本
- コミュニケーション技術
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- 心身の構造と機能
- 介護過程
- 医療的ケア
試験の有無
「介護職員初任者研修」では、法令により修了後に1時間の修了試験が義務付けられています。
この点が介護福祉士実務者研修との主な違いとなっています。
介護福祉士実務者研修は、定められたカリキュラムを履修することで資格を取得できる資格です。
そのため、特別な資格試験は課されません。
医療的ケアを学習するか
介護福祉士実務者研修の大きな特徴として、医療的ケアの基礎を習得できるポイントが挙げられます。
介護福祉士実務者研修のカリキュラムには、「経管栄養」や「たんの吸引」などの医療的ケアに関する科目が含まれています。
一方の介護職員初任者研修では、このような医療的な知識は学ぶことができません。
介護福祉士国家試験に必須か
介護福祉士国家試験を受験するためには、介護福祉士実務者研修の修了が必須となっています。
一方で、介護職員初任者研修は受験資格に含まれていません。
つまり、介護福祉士の資格取得を目指す方は、介護福祉士実務者研修を受講し修了する必要があります。
サービス提供責任者として働けるか
介護福祉士実務者研修の資格があれば、サービス提供責任者として活躍することができます。
一方で、介護職員初任者研修のみの場合は、別途3年以上(540日)の実務経験が必要となります。
サービス提供責任者は、利用者の支援計画の作成や、スタッフの指導・監督などの重要な役割を担っています。
介護福祉士実務者研修修了者は、これらの業務を行えるよう、より専門的な知識と技術を身につけています。
介護福祉士実務者研修と初任者研修の共通点
介護福祉士実務者研修と介護職員初任者研修には、以下の9つの共通する受講科目があります。
- 人間の尊厳と自立
- 社会の理解I
- 介護の基本I
- 生活支援技術I
- 生活支援技術II
- 認知症の理解I
- 障害の理解I
- こころとからだのしくみI
- 介護課程I
つまり、介護職員初任者研修を修了した方は、介護福祉士実務者研修の受講費用が免除されるのみならず、受講期間も大幅に短縮されます。
介護福祉士実務者研修取得者の給料
介護福祉士実務者研修を修了した人の給与水準は、以下のようになっています。
正社員 | 30万240円 |
---|---|
非常勤 | 16万7,270円 |
これらの数値は、介護職員初任者研修修了者と比較すると、高めの水準となっています。
例えば、介護職員初任者研修修了者の平均月給は26万8,680円となっています。
介護福祉士実務者研修の修了者は、「サービス提供責任者」などの管理職への昇進も期待できます。
このように、介護福祉士実務者研修の資格取得は給与面でも有利に働きます。
介護福祉士実務者研修取得者の就職先
訪問介護事業所
介護福祉士実務者研修の資格を取得すると、訪問介護事業所で「ホームヘルパー」として活躍できます。
訪問介護サービスは、有資格者でなければ従事できない業務です。
つまり、介護福祉士実務者研修の資格を取得することで、訪問介護事業所での選択肢が広がり、より幅広い活躍の場が得られるでしょう。
有料老人ホーム
介護福祉士実務者研修の資格取得者は、有料老人ホームでも幅広く活躍できます。
この研修では、介護に関する包括的な知識とスキルが身につくため、各施設への就職や転職の際に有利に働きます。
特に、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアに対応している老人ホームや、認知症ケアに力を入れている施設などを中心に、介護福祉士実務者研修修了者の需要が高い傾向にあります。
また、介護職員初任者研修やホームヘルパー2級といった下位の資格よりも、介護福祉士実務者研修は上位の位置づけにあります。
そのため、同等の実務経験があれば、待遇面でも高く評価される可能性が高いでしょう。
デイサービスやショートステイ
介護福祉士実務者研修の資格は、デイサービスやショートステイの職場でも高く評価されています。
このため、資格を持っていれば、これらの施設への就職や転職がしやすい傾向にあります。
デイサービスでは、入浴介助や体操・レクリエーションといった業務が主となります。
一方、ショートステイでは、老人ホームと同様の生活全般にかかわる介助を行います。
介護福祉士実務者研修の中では、これらの業務に必要な専門的知識をほぼ網羅して学習することができます。
そのため、資格取得者は、どの職場に就いても自信を持って仕事に取り組めるでしょう。
働きながら取得は可能か
介護分野で働きながら、介護福祉士実務者研修の取得を目指す人は多数います。
特に、介護福祉士国家試験の受験要件に「3年以上の実務経験」が必須なため、現場で働きながら介護福祉士実務者研修を取得する方が一般的です。
ただし、勤務先の都合などで決まった曜日の講座になかなか出席できないという課題もあります。
そこで有効なのが、スクールの「振替制度」の活用です。
多くの大手スクールでは、無料でこの制度を提供しています。
例えば、毎週水曜日開講の講座に申し込み、仕事の都合で出席できない回は別の曜日に振り替えて受講するといった具合です。
週何時間の講座を選ぶかによっても研修期間は異なりますが、一般的には6ヶ月以上の期間を要します。
しかし「自宅学習」と「通学講習」を組み合わせたカリキュラムを選択すれば、通学は7回程度で済むため、約2ヶ月間の調整でスムーズに研修を修了できます。
介護現場で働きながらでも、スクールの支援制度を活用することで、介護福祉士実務者研修の取得が可能となります。
公的な資格取得支援
介護職員実務者研修受講資金貸付制度
介護福祉士実務者研修の受講を検討している方は、都道府県の自治体が設けている「実務者研修受講資金の貸付制度」の活用を検討するとよいでしょう。
例えば神奈川県では、介護福祉士実務者研修の受講者を対象に、最大20万円の貸付を行っています。
この貸付を受けた場合、最終的に介護福祉士の資格を取得し、神奈川県内で2年間介護業務に従事すれば、返還が免除されます。
他の都道府県でも、概ね同様の条件で貸付制度を設けているところが多いようです。
自治体のホームページなどで、お住まいの地域の制度内容を確認してみましょう。
教育訓練給付制度
介護福祉士実務者研修を受講する際には、「教育訓練給付制度」を活用できる場合があります。
この制度では、一定の条件を満たせば、受講費用の一部を受給することが可能です。
特に「専門実践教育訓練給付金」では、目標とした資格を取得した場合、ハローワークから最大70%の給付を受けられます。
ただし、受給資格には条件があるため、ご自身の状況をハローワークで確認しましょう。
一般的な「教育訓練給付制度」では、在職中または離職後1年以内で一定の条件を満たせば、受講費用の40%(年間上限20万円)が支給されます。
受給資格の条件は以下の通りです。
- 1年以上雇用保険に加入している
- これまでに教育訓練給付を受けていない
- 前回の受講開始日から3年以上の雇用保険の加入期間がある
職業訓練
介護福祉士実務者研修の受講にあたって、職業訓練制度の活用を検討することができます。
まず、雇用保険の受給資格がある場合、テキスト代などの実費のみで研修を受講できる「職業訓練介護労働講習」があります。
この講習は、450時間の講義と105日間の現場実習・実践講習などから成り立っています。
受講料は無料で、テキスト代1万2,650円、講習保険料3,150円のほか、健診料や実習に必要な用品代などの実費が必要となります。
ただし、受講には一定の条件がありますので、詳細はハローワークに確認しましょう。
もし、雇用保険の受給資格がなく、収入が一定額以下の場合は、「求職者支援制度」の活用も検討できます。
この制度では、月10万円の職業訓練受講給付金(生活支援金)を受けながら、職業訓練を受講することができます。
給付金の受給には、いくつかの条件があるため、居住地のハローワークで詳細を確認することをおすすめします。
条件を満たさない場合でも、無料の職業訓練を受けられる可能性があります。
介護福祉士実務者研修を取得するメリット
介護福祉士実務者研修を取得すると、以下のようなメリットが得られます。
- 専門的な介護知識と技術を習得できる
- 介護福祉士の資格取得につながる
- 給与アップが期待できる
- サービス提供責任者など、管理職への登用が期待できる
- たん吸引や経管栄養などの医療的ケアの知識が身につく
- 好待遇の求人に応募できる
つまり、介護福祉士実務者研修の取得は、介護分野での更なるキャリアアップにつながる重要な機会となります。
介護福祉士国家試験の受験資格獲得
介護福祉士実務者研修は、2016年から介護福祉士国家試験の受験資格のひとつとして定められています。
介護福祉士の具体的な受験要件は以下の通りです。
- 実務経験3年以上 + 介護福祉士実務者研修の修了
または
- 介護職員基礎研修課程と喀痰吸引等研修課程の両方の修了
介護福祉士は、介護業界で大きな影響力を持つ国家資格です。
まだ介護福祉士資格の取得を検討していなくても、将来的な選択肢を広げられるでしょう。
サービス提供責任者としてのキャリアアップを目指せる
介護福祉士実務者研修を取得すると、「サービス提供責任者(サ責)」への昇進が期待できます。
サ責は、訪問介護事業所にて必ず配置が義務付けられている重要な役割です。
主な業務内容は、利用者やケアマネージャー、ホームヘルパーなどとの連絡・調整などのマネジメント業務です。
サ責には介護スタッフの指導力やマネジメント能力が求められますが、実務者研修で養われるスキルが活かせます。
サ責への昇進は、業務範囲の拡大や給与面での向上につながるでしょう。
サービス提供責任者に必要な条件
サービス提供責任者に必要な条件は以下の通りです。
- 介護福祉士、または介護職員基礎研修課程、介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)・介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の資格保持
- 3年以上の実務経験
つまり、介護福祉士の資格や一定の研修・経験を有していることが求められます。
介護の仕事でキャリアアップを目指す方は、ぜひ介護福祉士実務者研修の取得を検討してみましょう。
資格手当による給与アップ
介護福祉士実務者研修を修了すると、資格手当や職務手当などによる給与の向上が期待できます。
厚生労働省の調査によると、介護職員の平均給与は以下の通りです。
保有資格 | 平均給与 |
---|---|
保有資格なし | 268,680円 |
介護職員初任者研修 | 300,240円 |
実務者研修 | 302,430円 |
介護福祉士 | 331,080円 |
この数値から分かるように、介護福祉士実務者研修を修了した介護職員は、無資格者と比較して約3万円ほど給与が高くなっています。
介護福祉士実務者研修は、介護の専門知識や医療的ケアに関する技術も習得できるため、仕事の質の向上にもつながります。
そのことが、資格手当や職務手当の獲得にも貢献していると考えられます。
就職先の選択肢が増える
介護福祉士実務者研修を修了すると、無資格では難しい施設や事業所への就職が可能になります。
特に、介護スキルが求められる以下のような職場では、介護福祉士実務者研修の取得が有利に働きます。
- 訪問介護事業所
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
これらの施設では、看取りや医療的ケアを行うことがあるため、介護福祉士実務者研修で習得した知識・技術が重宝されます。
また、喀痰吸引等の研修を受講していれば、なおさら歓迎されるでしょう。
そのため、介護福祉士実務者研修を持たないと、事業所の介護報酬が減少してしまうリスクがあります。
つまり、就職・転職の際は実務者研修の取得が大きなアドバンテージとなり、好待遇の求人にも応募できるようになります。
医療的ケア知識を学びスキルアップができる
介護福祉士実務者研修では、医療的ケアに関する知識と技術を習得できるのが特徴の一つです。
具体的には、以下のような内容を学習することができます。
- 喀痰吸引(たんの吸引)の基本
- 経管栄養(胃や腸にチューブを通して直接栄養を送ること)の基本
近年、在宅介護や施設サービスで、これらの医療的ケアが必要な高齢者や障がい者が増えています。
そのため、介護福祉士実務者研修の修了者は、医療ケアに関する知識を持つ貴重な人材として評価されます。
ただし、実際に喀痰吸引や経管栄養を行うには、別途「喀痰吸引等研修」の受講が必須となります。
介護福祉士実務者研修は、その前段階として位置づけられています。
介護福祉士実務者研修と介護職員初任者研修で迷った場合
介護福祉士実務者研修と介護職員初任者研修のどちらを取得するのか迷った場合は、自分に合った研修を選ぶことが重要です。
実務者研修と初任者研修のどちらを選ぶべきか迷った場合は、以下の点を参考にしましょう。
介護職員初任者研修 | 介護福祉士実務者研修 | |
---|---|---|
介護の経験年数 | 浅い場合 | 経験が豊富な場合 |
目標とする介護資格 | 介護福祉士実務者研修 | 介護福祉士 |
未経験は介護職員初任者研修
介護福祉士実務者研修は、介護の実務経験がある人が対象の研修です。
しかし、介護業界未経験の人でも受講は可能です。
ただし、介護福祉士実務者研修の内容は、介護の初心者には難しい傾向があります。
充分に研修内容を理解するのが困難かもしれません。
また、介護福祉士の国家試験を受験するには、一定の実務経験が必要です。
経験年数が浅い場合、介護福祉士実務者研修を受講しても受験資格を満たすことができません。
そのため、介護業界に新しく参入する人は、まずは介護職員初任者研修から始めるのがおすすめです。
介護の基礎から丁寧に学べるため、介護職に必要な知識や技術を効果的に身につけられます。
介護経験歴3年以上なら介護福祉士実務者研修
介護の実務経験が3年以上ある人は、介護に関する基本的な知識やスキルが身についています。
そのため、介護職員初任者研修から始める必要はありません。
介護福祉士実務者研修からスタートすることで、円滑にカリキュラムを修了できるでしょう。
ただし、無資格・未経験から実務者研修を修了するのは、一定の労力が必要です。
人によっては介護職員初任者研修から段階的に学習した方が適していることもあります。
自身の介護経験年数や学習意欲を考慮して、介護福祉士実務者研修か介護職員初任者研修かを選択しましょう。
介護福祉士実務者研修の将来性
介護業界でキャリアを築いていく上で、介護に関する知識は非常に重要です。
介護福祉士実務者研修を取得すると、介護の現場で様々な可能性が広がります。
実務経験とあわせて研修を受講すれば、介護福祉士の資格取得にもつなげられます。
そのため、介護福祉士実務者研修の重要度は今後もますます増していくでしょう。
介護のスキルアップとキャリアアップを考えている人は、介護福祉士実務者研修の取得をぜひ検討しましょう。
介護福祉士実務者研修ができたきっかけ
介護福祉士実務者研修が誕生したのは、高まる介護ニーズの多様化に対して国が積極的に対応しようとしたからです。
具体的には、介護福祉士に求められる役割が大きくなってきたため、その前段階の介護福祉士実務者研修の内容を充実させ、介護サービスの質的向上を目指したのです。
実際に、介護福祉士実務者研修は介護職員初任者研修よりも受講時間が長く、学習内容の範囲も広くなっています。
これは、介護福祉士資格の取得方法が見直されたことが影響しています。
国は、介護ニーズの多様化に伴い、介護福祉士の資質向上を図る必要性を認識しました。
その結果、介護福祉士実務者研修が介護福祉士試験の受験資格の1つとなり、介護のキャリアパスにおいて重要な役割を果たすようになりました。