ケアマネジャーとは?必須資格・なり方、仕事内容や役割を解説

介護サービスを利用するために必要な「ケアプラン」を作成する役割を担っているのが、「ケアマネジャー(介護支援専門員)」です。

利用者と介護サービスを提供する事業者をつなげる連携役でもあります。

本記事ではケアマネジャーとはどういった仕事なのか、求められる資格や要件、活躍できる場について紹介。

ケアマネジャーを目指されている方や介護職でのキャリアアップを考えている方はぜひ参考にしてみてください。

株式会社けあけあ ふくしの人づくり研究所  奥田 亜由子

株式会社けあけあ ふくしの人づくり研究所

保有資格:
社会福祉士,介護支援専門員,主任介護支援専門員
専門分野:
ケアマネジメント,相談援助技術

日本福祉大学を卒業後、知的障害者入所施設で生活指導員として勤務した後、社会福祉士として在宅介護支援センターの立ち上げに関わる。介護保険制度開始とともに介護支援専門員を取得し、居宅介護支援事業所を立ち上げる。介護支援専門員の国の指導者研修に参加し、法定研修の講師としても活動、現在に至る。日本福祉大学大学院で福祉マネジメント修士を取得。日本福祉大学や金城学院大学などでの非常勤講師を務めるなど、社会福祉士の養成などを現在も担っている。

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ケアマネジャーの給料・年収

ケアマネジャー 介護職員
月給 36万2,700円 31万8,230円
年収 約435万円 約382万円
出典:『令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果』(介護労働安定センター) 時点

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、ケアマネジャーのうち、月給制の者の平均賃金は36万2,700円でした。

基本的に月給は20万円~35万円、年収は300万円~450万円に設定されることが多いようです。

なお、表からも分かるように、ケアマネジャーの賃金のほうが、介護職員全体の賃金よりも高くなっています。

ちなみに、ケアマネジャーの給与待遇が比較的良いのは、ケアマネジャーの資格を持っていることで資格手当がつくのが大きく影響しているケースが多いようです。

初任給や福利厚生、雇用形態別の収入など、詳しく知りたい方は「ケアマネジャーの給料を年齢、職場、都道府県ごとに徹底解説!」をご覧ください。

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ケアマネジャーの就職先

居宅介護支援事業所(居宅ケアマネジャー)

居宅介護支援事業所で勤務しているケアマネジャー

ケアマネジャーは、居宅ケアマネジャーと施設ケアマネジャーという2種類に分かれ、それぞれ活躍する環境が異なります。

「居宅ケアマネジャー」は「居宅介護支援事業所」に所属。

ホームヘルパーやデイサービス(通所介護)の利用のためのケアプラン作成や、利用するサービス事業者への申し込み、連絡作業を通して利用者の生活支援を行います。

ちなみに、「居宅介護支援事業所」とは、在宅介護を中心に受けながら生活する利用者に向けてケアプランを作成したり、連絡調整を行ったりする事業所のことです。

介護施設(施設ケアマネジャー)

「施設ケアマネジャー」は、さまざまな介護施設で働くケアマネジャーです。

特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホーム、介護老人保健施設などに属して要介護の方の介護サービス利用を支えます。

施設ケアマネジャーは居宅ケアマネジャーに求められる各サービス事業者との調整連絡はありませんが、そのぶん施設によって業務内容に違いが大きく、日常的な生活介助など介護の現場にかかわることもあります。

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地域包括支援センター

ケアマネジャーとして就職し一定の実務経験を経て、上位資格である主任ケアマネジャーへとキャリアアップを図る人も多いです。

主任ケアマネジャーは、ケアマネジャーの「まとめ役」的な存在ともいえる職種で、資格を取得すれば地域包括支援センターでも働くことができます。

主任ケアマネジャーの資格は、ケアマネジャー有資格者が所定の研修を受けることで取得でき、合格が求められる試験などはありません。

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ケアマネジャーのやりがい

ケアマネジャーは、利用者の生活を支える重要な役割を担う、やりがいのある職業です。

利用者やその家族との信頼関係を築き、一人ひとりに合わせた最適なケアプランを作成することが主な仕事。

自分が作成したプランで利用者が自立していく姿を見守れることや、感謝の言葉をかけていただける機会が多いことが、大きなやりがいにつながります。

また、国家資格を活かして社会に貢献できていると実感できることも、ケアマネジャーならではのやりがいといえるでしょう。

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ケアマネジャーとして働くメリット・デメリット

メリット

ケアマネジャーは、介護の現場で直接的なケアを行うのではなく、利用者や家族の相談に乗り、適切なサービスを提案・調整する役割を担うため、身体的な負担は介護職と比べると少ない傾向にあります。

訪問スケジュールも自分で管理できるため、ある程度プライベートの時間も確保しやすいです。

また、ケアマネジャー資格を取得すると、手当がつく事業所も多く、収入アップも期待できます。

専門性を深め、より理想の介護サービスを提供しながらも自身の勤務スタイルをコントロールできるという点で、ケアマネジャーの資格を取得することにはメリットが多くあるといえるでしょう。

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デメリット

ケアマネジャーの業務はケアプランの作成や事業者との調整業務が中心となります。

他の介護職からキャリアアップした場合、利用者と直接関わる機会が減る点をさみしく思われる方もいるようです。

また、ケアマネジャー資格の更新には一定の手間と費用がかかります。

2006年からケアマネ資格は5年ごとに資格登録のある都道府県での更新研修を受講する必要があり、都道府県よって金額は異なります。

ケアマネジャーに向いている人

事務能力が高い人

事務をするケアマネジャー

ケアマネジャーの日常業務の多くを占めているのが、書類作成です。

重要なケアプランの作成業務をはじめ、日々、数多くの書類を作成して介護事業所や官公庁などとやりとりしなければなりません。

例えば「サービス利用票」という介護サービスの利用予定が書かれている書類や、「サービス提供票」という各介護事業所(訪問介護事業所やデイサービスなど)とのサービスの調整作業に使われる大切な書類を取り扱うのです。

これ以外にもケアマネジャーはさまざまな書類を取り扱うため、 事務作業を的確かつ迅速にこなせる人が向いています。

コミュニケーション能力が高い人

コミュニケーション能力が高い人はケアマネジャーに向いています。

サービス利用者は、障害や健康問題を抱えている高齢者であることが多いため、相手の立場に寄り添ってやり取りする必要があります。

なかには言語障害やメンタル的な問題を抱えているために言葉で表現するのが難しい人もいるのです。

信頼関係を築きながら本音を聞き出す姿勢が求められます。

また、介護事業所や官公庁、各種団体など、さまざまな窓口との連絡の際にも、コミュニケーション能力は重要です。

観察能力が高い人

作成したケアプランを活かすために、 各利用者の抱える状況や条件を総合的に把握する観察眼が求められます。

障害や高齢の利用者のなかには、自分たちのニーズをうまく表現できない人も多くいます。

また、利用者本人と家族との思いに食い違いがあることも珍しくありません。

利用者本人が人と話したいからといっても、デイサービスのような集団ではなく、ヘルパーと一対一で会話をするほうが向いている人もいるでしょう。

利用者やその家族からヒアリングして得た要望はもちろん、生活環境や家庭の事情など、利用者本人が言葉で表現できないさまざまな問題を察知する能力がある人にケアマネジャーは向いています。

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ケアマネジャーの将来性

ケアマネジャーは、介護職員を経てキャリアアップのために目指す人が多い、魅力的な仕事です。

専門的な知識や経験を生かして活躍できる場はたくさんあります。

高齢化が進行する日本では、介護保険サービスの利用者が今後も増加するため、介護保険制度や地域の介護サービスに精通しているケアマネジャーのニーズは高まっていくでしょう。

特に近年、異業種から介護業界への参入が続いていて、訪問介護事業所や通所介護施設を介護とは異なる業種の企業が手がけるケースが増えています。

ケアマネジャーが介護業界で占める重要な立場は今後も変わらず、その将来性はますます広がっていくと予想できます。

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介護職員処遇改善加算

介護報酬改定により、2024年度から介護報酬が1.59%引き上げられる予定です。

このうち0.98%は介護職員の処遇改善加算に充てられ、残り0.61%は居宅介護支援費の基本単位数を引き上げるために使用されます。

この改定はケアマネジャーにも間接的な影響を及ぼし、特に施設勤務のケアマネの場合、給与増の可能性があります。

以下のポイントを把握しておくことが重要です。

  1. 処遇改善加算の内容

    主に介護職員向けに設けられているものの、施設の裁量でケアマネジャーへの分配も可能です。

  2. 給与増額の見込み

    加算により、介護職員は最大月額3万7千円の給与アップが見込まれます。

  3. 介護業界の人手不足対策

    介護職員処遇改善加算は、業界全体の魅力向上と人手不足解消を狙っています。

現在のケアマネジャーの処遇が充分ではない場合も、これらの政策が積極的に実施されれば、職場環境の改善が進み、将来的にはより多くの専門職が介護業界に魅力を感じるようになるでしょう。

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