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介護ロボットとは?種類や導入のメリット、普及しない理由も解説

慢性的な人手不足に悩まされている介護業界の切り札として期待されているのが、介護ロボットです。

着々と開発が進み、実用化も間もなくと言われていますが、今後の動向はどうなのでしょうか?この記事では、ロボットを導入するメリットやデメリットを紹介。

ロボットが活躍する未来の介護現場について、各種データやアンケートからも考察していきます。

(株)日本能率協会総合研究所 主幹研究員 服部 真治

(株)日本能率協会総合研究所 主幹研究員

専門分野:
介護保険制度, 地域包括ケアシステム

介護保険制度・地域包括ケアシステムを専門とし、『わかりやすい 介護保険法の手引(共著)』などの書籍を手がける。また、ケアマネジャーを対象としたセミナーにて講師を務めるなど、介護業界全体の質向上にも大きく貢献している。介護に関する制度や仕組みを分かりやすく解説してきた経験を活かして、みんなの介護では「各要介護度の特色」や「介護保険制度」、「地域包括支援センター」に関する記事を監修している。

介護ロボットとは

介護ロボットはロボット技術を活用し、要介護者の自立支援や介護者の負担軽減を目的とした機器です。

介護の現場では人手不足が深刻で、高齢化による介護需要が増加しているため介護ロボットの導入が注目されています。

介護ロボットについて、厚生労働省と経済産業省では「6分野13項目」に分類しています。

分野 項目
移乗介助 装着型
非装着型
移動支援 屋外・屋内移動
装着移動
排泄支援 排泄予測
動作支援を含む
見守り・コミュニケーション 介護施設・在宅介護見守り
コミュニケーション
入浴支援 入浴支援
介護業務支援 介護業務支援

このように多様な介護ロボットが開発されています。

また、見守りセンサーを活用した認知症ケアの取り組みも進んでおり、今後ますます普及が期待されています。

介護ロボットの役割

ロボットは情報を感知し、判断し、動作するといった3つの要素技術を有する、知能化した機械システムで、これらの技術が介護に応用されています。

要介護者は介護ロボットを活用することで自力でできることが増え、さらに介護者の負担も身体的・精神的に軽減されることが期待されています。

夜間作業の負担も減り、効率的な介護が可能になる点も重要です。

介護ロボットの現状と課題

眼鏡をかけたスーツ姿の女性と頭に疑問符を浮かべる若い女性

介護ロボットは、高齢化社会の進展に伴い、介護業界において重要な役割を果たすと期待されています。

2035年には、日本の人口の3人に1人が高齢者になると予測されており、介護のニーズは今後ますます増加する見込みです。

このような状況下で介護ロボットは、介護者の負担を軽減し要介護者の自立支援をサポートする技術として注目されています。

政府は、2008年に「安心と希望の介護ビジョン」を発表し、介護ロボットの活用を提唱しました。2011年には福祉用具・介護ロボット実用化支援事業が始まり、さらに2012年には厚生省と経産省が共同で「ロボット技術の介護利用における重点分野」の策定を行い、その後も継続的に改訂が行われています。

しかし、普及率は依然として低く、訪問系、施設系(通所型)、居宅介護支援では、8割以上の事業者でロボットが導入されていません。

その背景には、予算や運用の課題、利用方法の理解不足があるとされ、これらの問題を解決しながら導入を促進していくことが求められます。

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介護ロボットの種類

介護ロボットは、様々な場面で活用されています。

例えば、移乗支援や移動支援といった具体的な支援分野ごとに分類され、目的に応じた使用が進んでいます。

移乗介助

移乗介助(装着)

装着型の介護ロボットは、介助者が直接装着して利用する機器です。

ベッドや車いす、便器間の移乗を安全かつ安心に行えるよう、高齢者の負担を軽減します。

また、介助者の身体的負担も減らし、効率的な介助を実現します。

移乗開始から終了まで一人で操作可能で、着脱も簡単に行える仕様です。

これにより、介護現場での導入が進み、作業の負担軽減に大きく貢献しています。

移乗支援(非装着)

非装着型の介護ロボットは、介助者が直接装着することなく移乗動作をアシストする機器です。

ベッドや車いす、便器間の移乗を安全かつ高齢者の負担を軽減し、安心して行えるようサポートします。

介助者一人で操作可能であり、力を補助することで身体的負担を大幅に軽減します。

据付け工事が不要なため、導入時のハードルが低い点も特長です。

また、最新の技術により、軽量化やコンパクトなデザインが進み、家庭でも利用しやすくなっています。

移動支援

高齢の男性を介護する若い女性と、その様子を見るスーツ姿の若い男女

移動支援(屋外)

高齢者の屋外での移動を支援する、歩行を助ける手押し車型の機器です。

使用者が自らの足で歩行できるようサポートし、荷物の運搬も同時に可能です。

モーターによる駆動力で上り坂では推進し、下り坂ではブレーキをかける機能を備えています。

砂利道や段差などの不整地でも安定して移動できる車輪を採用しており、雨天時にも使用できる防水設計が施されています。

また、機器は折りたたみ可能で、普通自動車のトランクにも収まるコンパクトなサイズです。

重量は30kg以下に抑えられており、介助者が持ち運びしやすい仕様になっています。

雨や汚れに強い耐久性と、直感的に使いやすいマニュアルブレーキも備え、高齢者の外出を快適に支援します。

移動支援(屋内)

高齢者の屋内移動や立ち座りをサポートする、日常生活での安全性と利便性を向上させる機器です。

トイレの往復や姿勢保持を支援し、使用者が自力で歩行しやすい環境を整えます。

食堂や居間での椅子からの立ち上がり、ベッドからの起き上がりなどもスムーズに行えるよう支援します。

標準的な家庭のトイレ内でも特別な操作なしで利用でき、便座への立ち座りや方向転換時の転倒リスクを軽減します。

従来の歩行補助具との併用が可能で、適応性の高さも特徴です。

さらに、最新機種では姿勢安定化機能が強化され、ズボンの上げ下げや清拭時のサポートも可能となっています。

これにより、介護者と使用者双方の負担を減らし、安心して日常生活を送ることができます。

移動支援(装着)

装着型の移動支援ロボットは、高齢者の歩行や転倒予防をサポートする先進的な機器です。

自立歩行が可能な使用者の動作を検知し、転倒のリスクを知らせて予防する機能を備えています。

また、立ち座りや歩行を助けることで、日常生活の安全性と利便性を向上させます。

歩行補助具との併用も可能で、さまざまな状況で柔軟に対応できます。

近年では、軽量化や装着のしやすさを追求したモデルが増え、さらに使いやすく進化しています。

排泄支援

排泄支援(排泄予測・検知)

排泄支援ロボットは、高齢者の排泄タイミングを予測・検知し、快適で効率的な排泄ケアを実現する機器です。

排尿や排便に関する生体情報や温度・湿度の変化を基に、排泄前の予測や排泄後の検知が可能です。

これにより、トイレでの自立排泄を促進し、オムツの使用を最適化するサポートが行えます。

予測結果をもとに、適切なタイミングでのトイレ誘導や介助が可能で、介護者の負担軽減にもつながります。

装着型の場合、容易に着脱でき、皮膚が敏感な高齢者にも配慮された設計となっています。

排尿と排便を区別して検知できる機能が備わっている製品は、より高い評価を受けています。

さらに、ケアプラン作成ソフトや介護記録システムと連携できる機能を持つロボットは、データ活用によるケアの質向上に貢献します。

外出時の活動性向上に寄与するモデルもあり、排泄ケアの幅を広げています。

排泄支援(排泄物処理)

排泄支援ロボットは、排泄物の処理を効率化し、快適な環境を提供する機器です。

排泄物のにおいを防ぐため、室外へ流す仕組みや密閉処理が採用されています。

また、設置位置を調整できる設計により、使用者の利便性を高めています。

排泄支援(動作支援)

排泄支援ロボットは、トイレ内での一連の動作をサポートするために設計された機器です。

下衣の着脱や便座への立ち座り、清拭といった動作を補助し、使用者の負担を軽減します。

一人で使用可能な設計で、必要に応じて介助者のサポートを受けながら利用できます。

標準的な家庭のトイレ内でも使えるように配慮されており、方向転換や動作完了を検知して通知する機能が付加されているモデルもあります。

これにより、安全かつ効率的な排泄ケアを提供します。

見守り・コミュニケーション

見守り・コミュニケーション(見守り(施設))

パソコンの間で人差し指を立ててよりそう、若い女性と若い男性

介護施設で活用される見守りロボットは、各種センサーや通信機能を搭載しています。これは、安全と効率性を両立したシステムです。

高齢者の尊厳を保ちながら、複数人を同時に見守ることができ、介護従事者の業務負担を軽減します。

施設内の介護スタッフ間で情報を即時共有できるため、迅速な対応が可能です。

センサーにより高齢者の状態や変化を検知し、通知や本人へのアラート機能を備えています。

さらに、データを蓄積して分析に活用でき、介護記録やケアプラン作成ソフトなどと連携することで、科学的な介護支援が実現します。

ボタン操作や声だけに頼らず、高齢者の動きや環境を自動で把握する仕組みも特徴です。

昼夜を問わず稼働するため、24時間体制の見守りが可能です。

見守り・コミュニケーション(見守り(在宅))

在宅見守りロボットは、自宅で高齢者の安全を確保しながら介護者や家族をサポートするために設計された先進的なシステムです。

各種センサーや通信機能を利用し、高齢者の状態やその変化を自動的に検知して通知します。

これにより、家族や介護従事者はリアルタイムで状況を把握し、迅速な対応が可能です。

収集されたデータは記録され、ケアプラン作成ソフトや介護記録システムと連携することで、科学的な介護計画の実現をサポートします。

また、ボタンを押すなどの特定の動作に頼らず、自発的な助けを求めなくても見守りを継続できる点が特徴です。

端末の携帯を必須とせず、複数の部屋や浴室など広範囲での見守りが可能なモデルもあります。

さらに、暗所での使用や災害時の安否確認、通知機能が備わった製品もあり、安心感を高めます。

このように在宅見守りロボットは、利用者の特性や生活スタイルに合わせた柔軟なサポートを提供し、在宅介護の質を向上させます。

見守り・コミュニケーション(コミュニケーション)

高齢者のコミュニケーションを支援するロボットは、日常生活の維持や社会参加を促進する重要な役割を果たします。

双方向の情報伝達により、会話や交流を活性化し、自立支援と活動の向上をサポートします。

この機器は高齢者の言語や表情、存在を認識し、得られた情報を基にプライバシーに配慮した形で家族や介護従事者へ情報を共有します。

さらに、データを活用して介護サービスの質を向上させる機能を備えています。

例えば、介護記録システムやケアプラン作成ソフトと連携し、科学的介護情報システム(LIFE)へのデータ共有も可能です。

収集された情報は、地域包括支援センターや介護支援専門員など多職種と共有され、個々のニーズに応じたサービス提供を実現します。

このように、コミュニケーションロボットは単なる交流の手段にとどまらず、高齢者の生活全般を支えるツールとして注目されています。

入浴支援

入浴支援ロボットは、高齢者の入浴時の安全性と快適さを高めるために設計されています。

浴槽への出入り動作をサポートし、清潔を保つケアを提供します。

一人での使用や、介助者の支援を伴う利用にも対応しています。

介護業務支援

頭をかかえて悩んでいた状態から笑顔になる若い女性

介護業務支援ロボットは、情報収集や蓄積を通じて業務の効率化を図り、質の高い介護サービスを提供するための革新的な機器です。

リスク予測やケアプラン作成、職員間のコミュニケーション強化など、多岐にわたる業務をサポートします。

これにより職員の負担を軽減しつつ、サービスの質を向上させる効果が期待されます。

ロボットは介護記録やケアプラン作成ソフト、科学的介護情報システム(LIFE)と連携可能な機能を備えており、共有した情報を基にした適切な動作も可能です。

さらに、複数の端末を一元管理する仕組みにより、データの一括管理が実現します。

自動化されたプロセスにより、日常的な業務負担を減らすだけでなく、職員教育や研修に活用することも可能です。

これにより、現場での効率性を高めながら、介護従事者がより利用者との時間を確保しやすくなります。

このような機器は、介護業務の改革を支える重要な役割を担っています。

介護ロボット導入のメリット・デメリット

メリット

うなだれてひざをつく若い女性が元気になって笑顔になる様子

介護ロボットを導入することで、さまざまなメリットが得られます。

まず、介護者の身体的・精神的負担が大幅に軽減される点が挙げられます。

特に移乗支援ロボットの導入により、腰痛に悩む介護者が改善した事例も報告されています。

  • 介護者の身体的・精神的負担が軽減される
  • 要介護者の心理的負担が軽減される
  • 介護現場全体の効率化が進み作業時間が短縮される
  • 介護者と要介護者の安全性が向上する

このように様々なメリットが挙げられます。

介護現場全体の効率化も期待され、介護ロボットが作業時間を短縮することで他の業務に集中する時間を確保できる点も大きなメリットです。

業務の効率化が進むと、人手不足の問題も解消し、介護職のネガティブなイメージを払拭する一助となるでしょう。

デメリット

羽の生えたお札を見つめて顔をしかめる若い女性

介護ロボットを導入する際には、いくつかのデメリットが存在します。

まず、最も大きなデメリットはコストの高さです。

介護施設の多くは、ロボットの導入を断念する理由として「価格が高い」を挙げており、特に高額なロボットの導入には数百万円の費用がかかります。

  • ロボットの価格が高く長期的なコストが負担となる
  • 設置スペースの確保が難しい場合がある
  • 操作に慣れるまでに時間がかかりスタッフに負担がかかる
  • プライバシーに関する懸念がある

IT化が進んでいない介護現場では、いきなりロボットの操作を導入することが難しい場合も少なくありません。

これらのデメリットを踏まえつつ、導入の可否を検討することが重要です。

介護ロボット導入の手順

介護ロボットを導入する際の手順を解説します。

まずは介護ロボットを導入する目的を明確にすることが重要です。

  1. 現状の問題を洗い出し介護現場で解決したい課題をリストアップする
  2. 介護ロボットを導入する目的を明確にする
  3. 優先順位をつけて導入すべきロボットを明確にする
  4. ロボットを選定したら運用を開始する
  5. 導入後はロボットの効果を定期的にモニタリングし運用方法を見直す

常に改善点を探しながら運用を進めることで、より効果的な結果が期待できます。

介護ロボットが普及しない理由

介護ロボットの普及が進まない理由には大きく2つの課題があります。

1つ目はコストの問題です。

介護ロボットを導入するには高額な費用がかかり、特に大型の移乗支援ロボットでは数百万円もの費用が必要となるため、多くの施設が導入を断念しています。

また、維持費や管理コストも加わるため、導入後のランニングコストも懸念されています。

2つ目の課題は介護ロボットの「心の問題」です。

多くの介護現場では、介護者と利用者の間に築かれる信頼関係が重要視されており、人間同士の温かいコミュニケーションが不可欠と考えられています。

ロボットにはその「心」がなく、細やかなケアができないという理由から、導入に対して慎重な姿勢を取る施設も少なくありません。

介護ロボットの普及に課題はありますが、国や企業は介護ロボットの普及に向けた取り組みを進めており、メーカーへの支援や補助金制度なども整備されています。

今後、高齢化が進むにつれて介護ロボットの重要性が増していくことが予想され、普及が進むことが期待されています。

介護ロボット普及の取り組み

お金の話をするガッツポーズを浮かべたスーツの男性

介護ロボットの普及を促進するため、政府はさまざまな取り組みを進めています。

主に厚生労働省が中心となり、介護ロボットの開発・実用化支援が行われています。

2018年度からは「ロボット介護機器開発・標準化事業」が開始され、より多くのロボットが市場に投入されるようになりました。

さらに、経済産業省では、ロボットの導入に対する補助金・助成金制度を整備し、介護ロボット関連の基準や規格の設定を進めています。

これにより、介護ロボットの安全性や実用性が向上し、普及に向けたサポート体制が強化されています。

産官学連携によるベンチャー企業の設立なども進んでおり、今後さらに介護ロボットが身近な存在となっていくことが期待されています。

介護ロボット導入支援事業

介護ロボット導入支援事業は、介護ロボットを導入する際に必要な経費の一部を助成する取り組みです。

この事業は、介護従事者の負担軽減や職場環境の改善、利用者の自立支援を目的としており、介護ロボットの普及を目指しています。

都道府県ごとに設置された地域医療介護総合確保基金を活用し、介護事業所を対象に助成が行われます。

令和4年度の支援事業では、介護ロボット1台あたり30万円、特に移乗・入浴支援機器については100万円の補助が提供されます。

補助率は通常50%ですが、導入計画書において目標とする人員配置を明確にした上で、見守りセンサーやインカム、介護記録ソフト等の複数の機器を導入し、職員の負担軽減等を図りつつ、人員体制を効率化させる場合は、最大で75%の補助が受けられます。

さらに、Wi-Fi導入にかかる費用も補助対象となり、事業所ごとの補助限度額が設定されています。

補助内容や条件は自治体ごとに異なるため、事前に詳細を確認しておくことが重要です。

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介護ロボットのこれから

より現場の声を活かすために

笑顔で前を見つめるスーツ姿の三人の若い男性

現在、介護ロボットの開発は進んでいますが、現場との間にミスマッチが生じていることも事実です。

企業側が介護現場のニーズを十分に把握できていなかったり、現場のスタッフがロボットに対する知識不足やネガティブなイメージを持っている場合があります。

厚生労働省は、介護ロボットの「ニーズ・シーズ連携協調協議会」を全国50ヵ所に設置・運営することで、これらの課題に対応しようとしています。

この協議会では、高齢者や障害者といった利用者に加え、介護職員などケアを提供する側の負担軽減や機能向上を目指しています。

今後、こうした取り組みを通じて、より現場でのニーズに即した介護ロボットの開発が期待されます。

多様な分野での活躍

AI(人工知能)の技術は、今後さらに介護分野で活躍することが期待されています。

AIは、自ら情報を収集し学習する能力と、状況に応じて判断を行うシステムを備えており、介護ロボットにもこの技術が取り入れられつつあります。

すでに見守り支援を行うロボットや、一定の精度で会話ができるロボットが登場しています。

将来的には、ケアプランを作成するロボットや、介護される方の状態に合わせて照明の明るさを調整するシステムなど、より高度なAIを搭載した介護ロボットが開発される見込みです。

このように、AI技術が介護のさまざまな場面での役割を果たし、介護の質を向上させることが期待されています。

海外での展開を目指す

現在、日本は介護ロボットの先進国として、その技術を海外にも展開する動きを進めています。

日本が主導して、介護ロボットの安全性に関する基準の策定を目指す取り組みが進行中で、海外市場への進出を視野に入れた展開が始まっています。

これにより、国際的な市場でも日本の介護ロボット技術が活用されることが期待されています。

求められる役割が変わってきた福祉機器

青い車と夜に熟睡する高齢の男性

現在、高齢者や障害者の「自立」をどのように支援するかという視点が変化しています。

従来は、1980年にWHOが制定した国際障害分類(ICIDH)に基づき、医学的視点から失われた身体機能を補う自立支援が中心でした。

そのため、福祉機器は主に身体機能の障害を補う道具として位置づけられていました。

しかし、2001年に国際生活機能分類(ICF)へ改訂されたことで、介護される方の生活全体の質を向上させることが重視されるようになりました。

これに伴い、福祉機器の役割も変わり、地域社会が主体的に高齢者の自立をサポートすることが求められるようになっています。

この背景から、介護職員によるケアだけでなく、介護ロボットの活用が注目されており、介護される方がより自立した生活を送るための重要な役割を果たすようになっています。

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