重心線の位置を意識する!
力学の原理を人間の動きに応用して、より安全で効率的な介助を行うための理論を「ボディメカニクス」と言います。普段、何気なく行っている「椅子から立ち上がる動き」でもボディメカニクスは活用されています。なぜ人は、立ち上がれるのか。ヒントとなるのは「支持基底面」と「重心」というキーワードです。重心を貫く「重心線」が身体を支える支持基底面の内に収まっている状態では、人は倒れないようになっているのです。立ち上がり動作のボディメカニクスを理解することで、より安全で、より楽な介助で立ち上がらせることが可能になりますよ。
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「姿勢が安定している」状態を知る

「支持基底面」とは
人体や物体が地面に接している部分のことを「支持基底面」と言います。この部分の面積が大きいほど、姿勢が安定します。
(00:10~00:16)

「重心」とは
物体の重さの釣り合いが取れる点のことを「重心」と言い、その一点を支えさえすれば、バランスを取ることができます。また、重心を通る線のことを「重心線」と言います。
(00:17~00:21)

「バランスが取れている」状態とは
先ほど説明した「重心線」が「支持基底面」の内側に収まっている状態のことを、私たちは「バランスが取れている」と呼んでいます。そして、重心が低ければ低いほど、あるいは支持基底面が広ければ広いほど、安定性が増していきます。
(00:22~00:26)
「立ち上がり」のボディメカニクスを理解する

支持基底面を重心に近づける
実際に立ち上がるときの動きを見てみましょう。椅子から立ち上がった後、身体を支える支持基底面となるのは両足の間の部分のみ。立ち上がる前に両足を手前に引いて、支持基底面を重心線に近づけます。
(00:27~00:42)

重心を移動させる
まずは、お辞儀をするように前かがみの姿勢になります。そうすることで、重心の位置も前に。お尻が浮いて支持基底は両足の間のみになっているので、その内側に重心線を収めましょう。
(00:45~00:55)

バランスを保ちながら立ち上がる
支持基底面に重心線が収まっている状態、つまり、「バランスが取れている」状態であれば、立ち上がり動作が安定。立ち上がった後もバランスを崩すことがありません。ちなみに、立っている状態では、重心は腰のやや上にあると言われています。
(00:55~01:01)
立ち上がる前の準備をする

足を手前に引いてもらう
では、介助を行う場合はどうすれば良いのでしょう。大事なことは、先ほど説明した動きを再現できるように支援すること。まずは、足を手前に引くように促しましょう。
(01:02~01:17)

下から肘を支える
立ち上がる前に、つかまるものを用意しましょう。介助者が下から腕を差し出し、被介助者の肘をつかみます。このとき、点ではなく面で支えるようにイメージしてください。
(01:18~01:27)
ボディメカニクスを活用して立ち上がり介助を行う

前かがみの姿勢に導く
立ち上がる前に、頭を下げるように促しましょう。介助者が腰を落とすと、被介助者が前かがみの姿勢を作りやすくなります。このとき、介助者が脇にしっかり力を入れて介助すると、お互いに安定しますよ。
(01:28~01:34)

膝を伸ばして立ち上がりを支援する
肘を支えたまま膝を伸ばし、立ち上がりを支援しましょう。被介助者を引っ張りあげるのではなく、自分の腕を手すり代わりにするようなイメージです。
(01:35~01:38)

姿勢が安定していることを確認する
重心線が支持基底面に収まっているので、介助者が離れても姿勢は安定しているはずです。しかし、人によっては立ちくらみがあったり、足元がふらついたりすることもあるので、離れるときは、被介助者の姿勢が安定していることを確認してからにしましょう。
(01:39~01:43)
安定して立つために
重心線を支持基底面内に収める
